「投資信託ってよく聞くけれど、そもそも何なの?」と思ってる方もいらっしゃるでしょう。
ここでは始める前に知っておきたい投資信託の基礎をお話しましょう。
投資信託はファンドともいい、一言でいえば、投資家から集めたお金まとめて、運用の専門家が株式や債券などに投資して運用することで、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品のことをいいます。
投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。
運用が上手くいって利益が得られることもあれば、逆に上手くいかず投資額を下回って損をすることもあります。
まず知っておかなければならないのが、投資信託は元本が保証されている金融商品ではないということ。
この点が銀行預金などとは違うところなので十分理解しておくことが必要です。
投資信託を始めるにあたって、基礎知識を身に付けるためには、専門用語もある程度知っておく必要があります。
例えば「基準価額」や「分配金」といった、最も基本的な用語などは・・・。
投資信託の「基準価額」と「分配金」
■ 基準価額
基準価額とは、投資信託に付けられる値段のことです。
投資信託には取引を行う際の単位があって、それは「口(くち)」と呼びます。
例えば、運用を開始する時点で1口1円で購入できた投資信託は、運用を開始すると、1口の値段が運用の成果によって変動していきます。
基準価額は、投資信託の1口あたりの値段のことで、投資家が投資信託を購入・換金する際は、基準価額で取引が行われます。
証券取引所に上場している株式は、市場が開いている間、株価は常に変動していますし、その時々の株価で売買することができます。
その一方で、一般的な投資信託の基準価額は、投資信託に組み込まれている株式や債券などの時価評価を基に算出され、1日に1つの価額として公表されます。
この基準価額を基に投資信託の購入や換金が行われます。
基準価額は、販売会社や運用会社のホームページ、新聞などで調べることができます。
最新の目論見書や運用報告書を掲載していることもありますので、投資信託の詳細な情報を得るにはこれらを活用します。
■ 分配金
投資信託を購入した投資家は、購入した時点での基準価額より、換金時の基準価額が高ければ利益を上げることができるわけですが、それ以外でも利益を得ることができます。
投資信託には、「分配金」と呼ばれるお金を、投資信託の決算が行われる際に支払う仕組みがあります。
分配金は、投資信託が株式や債券に投資して運用して得た収益を、保有口数に応じて投資家に分配します。
投資信託の分配金の支払いは投資信託によってさまざまで、分配金の支払い頻度も毎月支払われるものもあれば、年1回だけのものまで、投資信託によって違います。
また、分配金の額も決算の内容や分配方針によって変化しますし、状況によっては支払われないこともありますから確認が必要です。
投資信託の分類
投資信託には、いろいろな分類の仕方があります。
■ 募集の仕方による分類
・公募:多数の投資家に取得させることを目的とした投資信託。
・私募:機関投資家などだけに取得させたり、ごく一部の投資家に取得させることを目的とした投資信託。
■ 形態による分類
・契約型:運用会社と信託銀行が信託契約を結ぶことにより組成される投資信託。
・会社型:投資を目的とする法人を設立することによって組成される投資信託。
日本では、契約型が主流で、会社型にはJ-REIT(不動産投資法人)などがあります。
■ 購入できる期間での分類
・単位型:投資信託が当初の募集期間のみに購入できる投資信託。
・追加型:原則的に投資信託が運用されている期間中いつでも購入できる投資信託。
■ 払い戻しによる分類
・オープンエンド型:原則的に運用期間中、払い戻しに応じる投資信託。
・クローズドエンド型:運用期間中、払い戻しに応じない投資信託。
■ 定款による分類
・株式投資信託:約款に株式に投資できる旨が記載されている投資信託。
・公社債投資信託:約款に株式には投資しない旨が記載されている投資信託。
投資信託のメリットとリターン
■ 投資信託のメリット
1.高い透明性
原則として毎日、取引価格である基準価額が公表されていますので、資産価値や値動きが分かりやすい金融商品です。
また、決算ごとに監査法人などによる監査を受けているため透明性も高いといえます。
2.少ない金額から購入できる
通常の株式投資や債券投資では、ある程度のまとまった資金が必要になりますが、投資信託であれば1万円程度から手軽に始めることができます。
3.分散投資ができる
投資信託は株式や債券などに分散して投資することができます。
投資の基本は、資産をいくつかの商品に分けてリスクを分散させる「分散投資」が基本です。
個人の投資家が、自分だけで分散投資しようとすると多くの資金が必要となりますが、投資信託では小口のお金を集めて一つの大きな資金として運用するので、さまざまな資産に分散投資してリスクを軽減することができます。
投資信託は、このような分散投資の考え方から生まれた金融商品なんです。
4.専門家による運用
株式や債券などの投資に必要な知識を個人で身に付けるのはなかなか難しいものです。
投資信託は、経済や金融などの知識を身に付けた専門家が投資家に代わって運用します。
ですので、個人では買えない、買いにくい海外の株式や債券、特殊な金融商品への投資も可能になります。
■ 投資信託のリターン
ここでいう投資信託のリターンとは、投資を行うことで得られる収益のことです。
リターンには2種類のリターンがあり、1つは配当や利子のようなインカムリターンと、もう1つは、株価の値上がりによるプライスリターンです。
両方を足したものをトータルリターンと呼び、投資のリターンを表す時には、通常ではトータルリターンが使われます。
投資信託のリスク
投資信託は比較的安全な資産運用になりますが、基準価額は株式市場などの動向によって変動します。
したがって、元本保証はないというリスクもあります。
基準価額に影響を及ぼす主な変動要因には以下のものがあります。
■ 価格変動リスク
価格変動によるリスクとは、投資信託が組み込まれている株式や債券の価格が変動する可能性のことです。
株価は最終的には市場における需給によって決まりますが、一般的に国内外の政治や経済情勢、企業の業績などの影響を受けます。
■ 金利変動リスク
金利が変動する可能性のことを指します。
一般的に、金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券の価格は上がります。
また、満期までの期間が長い債券ほど、金利変動の影響を受け易くなります。
■ 為替変動リスク
為替レートが変動することで起こるリスクです。
外国通貨建ての投資信託の場合、一般的には円高になれば基準価額にマイナスに、円安ならプラスに動きます。
外国の株式や債券で運用する投資信託には、基本的に為替変動リスクがあることも知っておきましょう。
■ 信用(デフォルト)リスク
債券などを発行する国や企業が、財政難や経営不振などの理由によって、利息や償還金をあらかじめ定めた条件で支払うことができなくなる可能性のことを信用リスク又はデフォルトリスクといいます。
「卵は1つのカゴに盛るな」という有名な格言があります。
イギリスのマーク・トウェインが1894年に出版した『ノータリン・ウィルソンの悲劇』の中にある一節です。
実はマーク・トウェインは、『卵は1つのカゴに盛るな』と愚かな者は言う。
そして『卵は1つのカゴに盛り、そのカゴをよくよく見守れ』」と賢者は言うとも・・・。
これは、投資の世界に置き換えて言うと、個人投資家は資金量が少ないので、分散投資ではあまり利益が出にくいということを示唆しているのではないでしょうか。
大きな資金なら、わずか数パーセントでも十分な利益が出せますが、小額の資金で分散投資しても利益は高々知れてる。
それは愚者の所業だと・・・。
だから賢者は、「儲けたかったら卵は1つのカゴに盛って、注意深く見守りなさい」というやりの方が利益を出しやすいと言ってる様にもとれます。
あなたはこの言葉、どのように解釈しますか?
投資信託のリスクは、種類や投資額によって異なります。
投資信託を購入する際は、目論見書などでリスクを説明している項目にもしっかり目を通して、それぞれの投資信託が持つリスクを知っておくことも大切です。
リスクをできるだけ小さくするためにも、分散投資や長期保有することも1つの方法です。